SCOOP!(2016)あらすじと作品紹介(ネタバレなし)






『SCOOP!』はどんな映画?

かつて週刊誌の専属カメラマンとして活躍していたが、現在はフリーで仕事を続けている中年男。追うのはもっぱら有名人のゲスなスキャンダルばかりで、私生活も安定したものとはいえません。そんな中、週刊誌の編集部から新人の女性記者を押し付けられ、教育を託される。初めはお互い反目し合うものの、二人の間には次第に信頼関係が生まれていきます。

現代日本を舞台に小気味良いテンポで進む、いわば「業界内輪モノ」。週刊誌のスクープ記事が社会に大きな影響を及ぼすことも多い昨今ですが、その内部の人々の姿を生き生きと描いた作品です。原作となった作品は30年以上も前のものですが、そのエッセンスを十分に残しつつ、21世紀の現代社会に鋭く切り込む翻案がなされています。

その原作となった原田眞人監督のテレビ映画『盗写 1/250秒』(1985)をリメイクしたのは、『モテキ』(2011)『バクマン。』(2015)などの大根仁監督。主演の中年カメラマンに『容疑者Xの献身』(2008)『そして父になる』(2013)などの福山雅治。彼とコンビを組む新人記者に『ヒミズ』(2012)『私の男』(2014)などの二階堂ふみ。他に吉田羊、滝藤賢一、リリー・フランキーら。


『SCOOP!』あらすじ

都城静(福山雅治)はかつて週刊誌専属の敏腕カメラマンとして鳴らした男。しかし、とある問題を起こしたことからフリーの身となり、中年になった今では政治家や芸能人のスキャンダルを追う、いわゆる「パパラッチ」となっていた。性格は粗野で下品、暴言・セクハラなんでもござれで、私生活も借金を抱え不安定だ。しかしその腕は確かで、かつてともに仕事をした「SCOOP!」副編集長の定子(吉田羊)は今も彼に仕事を依頼している。

ある日定子は、新人記者の行川野火(二階堂ふみ)を静に託し、コンビとして動くことで彼女を育ててくれるよう依頼する。静は難色を示すも、なかなかの額の報酬をぶらさげられ、野火をパートナーとすることにする。いかにも今どきの若者である野火はロクデナシの中年男である静に反発し、その仕事のゲスぶりにドン引きするものの、修羅場をくぐり抜けるうちに次第にこの仕事に惹かれ、静にも親しみを抱くようになる。

二人が追うのはもっぱら下半身方面のスキャンダル。情報屋のチャラ源(リリー・フランキー)の協力もあり、仕事はわりと順調だ。しかし、ある日編集部に持ち上がったのは社会派の取材案件。逮捕された連続婦女暴行殺人犯が、現場検証のために姿を現すという。定子は静に、かつてのような骨のある取材をして欲しいと望む。野火もやる気は満々、取材に向かおうと静を焚きつけるが……。


鑑賞前のポイント

ややこしい解釈の必要もなく非常にテンポよく進んでいく快作で、いい意味でとても気軽に鑑賞できる映画です。だらだらとした説明もなく、しかしスムーズに観客を業界内部の事情・空気に巻き込んでいく仕掛けは、大根仁監督らしい緻密かつ大胆な作りです。写真週刊誌というのがどういうものなのか、ということを一般読者レベルで知っていれば、その他の予備知識はまったく必要ではありません。

原作となった『盗写 1/250』もチェックしておきたいところですが、各種のオンデマンド映像サービスはおろか、レンタル店などで発見するのもなかなか難しいところです。一応ビデオ・ソフト化されているので、チェーン店ではないマニアックなレンタル店などでは発見できるかもしれません。ちなみに福山雅治の役どころは、原作では原田芳雄。二階堂ふみは斉藤慶子、吉田羊は夏木マリとなっています。

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